パリパリ派

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テイルズオブベルセリアが面白かったという話

テイルズオブベルセリアが面白すぎた話。

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テイルズシリーズは5年ほど前にエターニアをプレイしたっきり、あとはジアビスのアニメを見たくらいだった。ファンタジアやヴェスペリアの最初の方を少しプレイしたことはあるのだが、どちらもタイミングに恵まれず、序盤でやめてしまったのであまりシリーズを知っている方とは言えない。しかし、久しぶりの休みにベルセリアを借りてみたところあまりにのめりこんでしまい、一気にプレイして興奮冷めやらずぶちまける先を求めてここの存在を思い出した次第である。

f:id:norikuttenorinori:20171113234811j:plainテイルズオブエターニア。めちゃくちゃ面白い)

このゲームは2016年8月の発売で、ちょうど自分がPS4の購入を決意した頃に発売していたので、購入はずいぶん迷ったのだが、前作のゼスティリアの評判があまりにも悪かったためペルソナ5の魅力に負け、その後もなんとなくやる機会を逸して今に至る。

 

貸してくれた知人からは、「とにかくストーリーが楽しい」というのを事前に聞いていたのだが、プレイしてみると確かにその通りだった。

 

物語は主人公のベルベットが病弱な弟ライフィセットとともに暮らしている平穏な村の生活から始まる。しっかり者で気が強いが優しい姉と、病弱ながらも賢く穏やかな弟の平和な日々が描かれていく。

途中でやめてしまったヴェスペリアなどでは序盤の平穏さでやや間延びしてしまい、途中でプレイをやめてしまったため、今回もこのパターンかと思いちょっと悲しく思いながらプレイしていたのだが、その懸念はすぐに払拭された。

平穏な日々の中、「緋の夜」と呼ばれる月が怪しく赤く光る夜、何も言わずいなくなった弟を探すベルベット。仲の良かった村の人々は「業魔」と呼ばれる異形と化していた。ようやくライフィセットを岬の祠の前で見つけると、傍らには義兄のアルトリウス(アーサー)がいた。アーサーは「対魔士」。「聖隷」と呼ばれるものを使役し、業魔と戦う事を生業とする人間である。無事を喜ぶのもつかの間、アーサーはライフィセットの胸を貫き、祠へと捧げた。突然の事に泣き叫びながら止めるベルベットも、アーサーは一切容赦せず左腕を切って捨てた。ライフィセットが捧げられた祠からは金色の龍が飛び去り、ベルベットの左腕は赤黒く禍々しい鉤爪と化す。新たに得た鉤爪を使いアーサーに斬りかかるベルベットだが、あっさりと斬り伏せられてしまうのだった。

f:id:norikuttenorinori:20171114001708j:plain(ライフィセットを貫くアーサー [公式サイトより])

 そして物語は3年後、監獄に囚われ異形と化した左腕の餌として放り込まれた業魔たちを屠り続けていたベルベットのもとにアーサーの聖隷がやってきて、脱獄をするところからベルベットの旅路が始まるのだ。

 

いやあなんと陰惨な始まりだろうか。

そしてなんと謎めいた始まりだろうか。

こんな始まりなので主人公の目的はアルトリウスの抹殺というこれ以上ないほど明確なものである。しかしながら、アルトリウスがなぜそんな行動をしたのかもわからず、ベルベットの腕がなぜ異形とかしたのかもわからず、なぜアルトリウスの聖隷がベルベットに手を貸したのかもわからないという、謎が謎を呼ぶ展開であり、物語の仲にぐいっと引き込まれてしまう。

 

また、旅路の始まりが脱獄だというのも一気に引き込まれた要因だった。ろくでなしどもの物騒な掛け声を尻目に冷静に脱出計画を進めていくのはやはりロマンを感じざるを得ない。

f:id:norikuttenorinori:20171114004215p:plain(他の囚人たち。序盤とは思えない物騒さである)

この脱獄という始まりは、盛り上がるだけでなく、この後の旅の指針を明確に感じさせるものだったと言うのも大きいだろう。放火に暗殺、裏ギルドの手伝いと真っ黒で、行く先々では悪評が響き、そこかしこで恐れられるアンダーグラウンドな旅路である。

 

そんな旅路で仲間になるロクデナシ達だが、こいつらがまた非常にいいキャラクターなのだ。

f:id:norikuttenorinori:20171117005019j:plain (パーティーメンバー)

いきなり旅路をともにする事になるロクロウは、剣術の名家の出だが、とある相手を倒したいがあまり暴走し捕らえられ、果ては業魔になってしまった男。斬り合いになるとわれを忘れるが、脱獄の時にベルベットに愛刀を見つけてもらった事を恩に感じ、ずっとついてくれる気のいい兄ちゃんだ。

ロクロウとともに脱獄についてきたマギルゥと名乗る女はありとあらゆることを「どーでもいい」と片付け、ずっとおちゃらけ続けているが、対魔士にしか扱えないはずの聖隷を扱えたり、変な見た目の少女っぽいが色々な物事に深い知見を持っていたりと只者ではない。

f:id:norikuttenorinori:20171117010442p:plain(マギルゥ。いい。)

使役されていた主人から解放されてついてきた聖隷一号は、ベルベットのうっかりした呼びかけでライフィセットと名乗るようになり、次第に自我を取り戻していく。

途中から行動をともにする事になる海賊団の副長アイゼンは、コインを投げれば必ず裏、武器を使えば必ず壊れるという超不幸体質「死神の呪い」にかかった不幸な男。実は1000年以上を生きる聖隷であり、金髪碧眼でガタイのいいコワモテお兄さんだが、カブトークワガタ論争でムキになったり、遺跡トリビアなんかを熱く語ったり、じっさいはわりと面白お兄さんだったりもする。

f:id:norikuttenorinori:20171117010458p:plain(アイゼン。かっこいい)

途中で加入するエレノアは、もともと聖寮(対魔士達の組織。警察だったり軍だったりを担う)のA級の対魔士で、ベルベット達を取り締まる側だった真面目系人間だが、途中でやむにやまれず一行に参加したあとは一行共々指名手配され、愉快な旅路に染まっていく。

これにベルベットを加えた6名が本作のパーティーメンバーとなるが、なんとパーティーで後ろ暗いところがないのはエレノアだけというとんだならず者だらけであり、しかも目的はみんなバラバラというなんとも統一感のないパーティーだ。

 

 

しかし、この字面だけ追えば途方もなくバラバラな雰囲気の一行だが、不思議と一体感が強く感じられてしまう。このゲームの面白いところだが、これは各々が別の目的と信念を持っているのだが、それをぶつけ合わずに互いを「そういう人間」として一歩距離を置いて見ていることによると思う。

王道な展開としてよくあるファンタジーの「仲間たち」といえば、自分と意見が違えば大喧嘩。悪い奴は絆の力で更生。お節介焼きが余計なことをして大惨事。なんてことが日常茶飯事のイメージだが、ベルセリアの一行は、他のやつが「俺は◯◯したいからこうする」といえば「そう、じゃああなたとはここでお別れね」ってな具合でまあドライなものだ。しかし、そうやって別行動をしたとしても、「あいつの目的を達成するためなんだから確かにそう動くだろう」という理解のもとでの別行動であり、決してギスギスしたりするわけではないというのが良い。

この「自分は自分のやりたいようにやる」という点は、「君が君らしく生きるためのRPG」というジャンルを冠したベルセリアの物語全体に通じたテーマであり、物語中で何度も出てくる各々の「流儀」や、「鳥はどうして空を飛ぶのか?」という問いにも現れているし、各キャラクターに大人びた格好よさを与えているだろう。

 

さて、このように各々の信念・目的が確立されているというのがベルセリアのパーティーメンバーの面白い点だと思うのだが、その中で特異と言えるのが聖隷ライフィセットだ。ネタバレになるが、彼はもともと敵の対魔士に精神を封印された状態で使役されていたため、パーティーへの加入当初は全く信念などは存在せず、「命令」されなければ何もできないという、いわばテーマと真逆のキャラクターだ。

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ベルセリアの主人公はパッケージにもあるようにベルベットだが、ライフィセットがだもう一人の主人公であることに異存がある人はいないだろう。明確な目的意識を持った仲間達に引っ張られながらその生き様を見続けてきたライフィセットは少しずつ自分の「目的」を見出していく。そして終盤、ベルベットが旅路を根本から揺るがす事実に心折られ立ち上がれなくなった時、ライフィセットは己のエゴで彼女を叩き直らせるのだ。そのムービーシーンは声優さんの熱演も相まって涙なしには見られないし、どう見ても「かわいい」としかいえないライフィセットを心の底から「かっこいい」と思える非常に熱いシーンだ。彼の成長は物語の最後まで続く見所だった。

 

彼以外のキャラクター達も、各々に見せ場があるし、各々が重要な役割を背負っていて、一人一人のストーリーがきちんとあってキャラに対してよりもっと知りたいという気持ちになるゲームだった。

どこかでなにかスピンオフみたいなものとかできてくれないかなあと、彼らの旅路の続きを思っている。

 

また、システム面についても、3Dの画面と2D的な格闘が組み合わさった今までのテイルズのシステムでは思った方向に技が出せず苦手だった自分にとっては、3Dに比重が置かれた今回のシステムはストレスなく遊べてずっと楽しめた。コンボなども全然適当に連打でやってしまっていたが、調べてみると奥深いようなので今後やってみたいと思う。

 

評判悪いけどゼスティリアも設定の繋がりとかでより楽しめるらしいので機会があればやりたいですね。